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2021.02.06
今日は、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格で、外国人を雇用したという前提で、話を進めていきます。
もし、この外国人に配偶者や子がいて、「家族滞在」という在留資格で日本に居住していれば、すなわち住民票が取得できれば、年収等の要件を満たせば健康保険の被扶養者になれますし、税法上の扶養控除も受けることができます。
それでは、海外にいる両親は、外国人従業員の扶養に入れることができるでしょうか?
●まず、健康保険から見ていきます。2020年4月1日施行の健康保険法の改正により、被扶養者の認定条件に「国内居住要件」が追加されました。
以下にその条文を転記します。
健康保険法第3条第7項:
『7 この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者で、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学する学生その他日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものを言う。
ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者は、この限りでない。
一 被保険者の直系尊属、配偶者(事実婚含む)、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者によって生計を維持するもの
二 被保険者の三親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
三 被保険者の配偶者で届出をしていないが、事実上の婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者によって生計を維持するもの
四 前号の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの』
従って、海外にいる父母は、健康保険の被扶養者の適用範囲外になります。 そうすると、両親を日本に呼びたいという話になるのですが、両親は、「家族滞在」という在留資格を取得することはできません。「家族滞在」の在留資格を取得できるのは、配偶者及び子になります。 海外にいる両親を呼び寄せるには、告示外の「特定活動」を使うしかないのですが、条件が厳しく、なかなか認められません。
●次に、税法上の扶養控除を考えます。
海外にいる両親は、要件を満たせば、「国外居住親族」として扶養控除が認められます。その場合は、親族関係を証明する書類と送金関係を証明する書類を提出しなければいけません。
「国外居住親族」として認められるには、以下の要件を満足する必要があります。
①その年の12月31日時点で16歳以上である
②扶養者の配偶者以外の親族で、かつ6親等内の血族及び3親等内の姻族である
(納税者の父母、子、祖父母、孫、兄弟姉妹、また配偶者の父母や祖父母も含む)
③納税者と生計を一にしている(具体的には、納税者のお金で生活している)
④年間の所得が48万円以下(収入が103万円以下)
⑤他の納税者の扶養親族になっていない
必要書類としての親族関係書類としては、
◆外国政府機関が発行した書類で親族の名前、生年月日、住所の記載されたもの
パスポート、出生証明書、婚姻証明書など
送金証明書類としては、
◆金融機関に提出する送金証明書の控えなど
外国送金依頼書の控え、クレジットカードの利用明細書など
(現金の手渡しは、証拠が残らないため、不可。また、複数の親族について扶養控除を
受けたい場合は、各人ごとに送金証明書類が必要です。注意してください。)
となります。
具体的には、12月の年末調整の際に、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を
提出します。その時に上記の親族関係書類と送金関係書類を添付します。
詳細については、国税庁のHPを紹介します。参考としてください。