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胸部大動脈解離の障害認定日は、一般状態区分イ又はウであれば、人工血管挿入手術をした日である!

2021.08.22

今日のテーマは、障害年金の胸部大動脈解離の障害認定基準について考えます。

まず、胸部大動脈解離とは、どんな病気でしょうか?

 

ウイキペディアから引用します。

大動脈解離とは、「三層構造を作っている大動脈のうち、何らかのきっかけで真ん中の層の膜(中膜)に血流が入り込み、層構造が別々にはがれていく(解離してしまう)疾患」を言います。そして、解離ができる部位によってStanford分類がよく用いられています。

Stanford A 型とは、「上行大動脈に解離が及んでいる状態」をいい、Stanford B型とは、「上行大動脈に解離が及んでいない状態」を言います。

以下は、ウイキペディアと社会福祉法人済生会HPからの引用になります。

 

 

 

 

上記の図のように、大動脈の内膜が何らかの原因で損傷し、亀裂ができ、その亀裂の中に血液が流入、内膜が裂けて中膜の中に血液が多量に入りこむことになります。特にスタンフォードA型の場合は、生命に危険が及ぶため、緊急の手術が必要になります。

手術は、解離した大動脈を人工血管で取り換える「置換手術」になります。以下の図のようになります。

下行大動脈に内膜亀裂がある場合は、その亀裂部をステントグラフトで塞ぐ手術を行います。

スタンフォードB型では、入院の上、安静にして、血圧を下げる内科的治療を行います。もし、大動脈解離が進むような場合は、手術治療を行うことになります。

ここで、心疾患による障害認定基準をみていきます。

障害認定基準は、以下の通りです。

1級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級:身体の機能に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

となっています。

そして、認定要領は、以下のようになっています。

(1)心疾患とは、心臓だけではなく、血管を含む循環器疾患を指すものである。そして心疾患による障害は、弁疾患、心筋疾患、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)、難治性不整脈、大動脈疾患、先天性心疾患に区分する。

(2)心疾患の障害等級の認定は、最終的には、心臓機能が慢性的に障害された慢性心不全の状態を評価することである。

(8)心疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次の通りである。

区分 ア:無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの

区分 イ:軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば軽い家事や事務など

区分 ウ:歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している

区分 エ:身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

区分 オ:身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲が概ねベッドの周辺に限られるもの

(9)疾患別に各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次の通りである。

⑤大動脈疾患
3級:1)胸部大動脈解離(Stanford分類A型・B型)や胸部大動脈瘤により、人工血管を挿入し、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

2)胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤に、難治性の高血圧を合併したもの

(注5)大動脈疾患では、特殊な例を除いて心不全を呈することはなく、また最近の医学の進歩はあるが、完全治癒を望める疾患ではない。従って、一般的には1・2級には該当しないが、本傷病に関連した合併症(周辺臓器への圧迫症状など)の程度や手術の後遺症によっては、さらに上位等級に認定する。  人工血管には、ステントグラフトも含まれる。

(10)心臓ペースメーカー又はICD(植込み型除細動器)、又は人工弁を装着した場合の障害の程度を認定すべき日は、それらを装着した日(初診日から1年6月を超える場合を除く)とする。

以上が、心疾患(大動脈解離)の障害認定基準ですが、まとめると

●胸部大動脈解離は、一般状態区分がイ又はウであれば、3級に認定される。

ことになります。

ところで、障害認定日の特例については、心臓ペースメーカーやICD、人工弁については、装着日が認定日であると明記されていますが、人工血管については、明示がありません。

これについては、日本年金機構内部の疑義照会の回答が以下のようになされていて、人工血管だけでなく、人工心臓、心臓移植、CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)についても、初診日から1年6月を経過していなければ、施術日が障害認定日になるとしています。

障害認定日の特例(心疾患の障害)H23.6.1

胸部大動脈解離は、人工血管の手術日が、初診日から1年6月経過前であれば、その手術日が障害認定日になり、その認定日から3ケ月以内の診断書で、一般状態区分イ又はウと記載されていれば、3級に認定されることになります。

参考にしてください。

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