定年後再雇用時の給与減は適法~最高裁長澤運輸事件判決|浜松の社労士事務所

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コラム

定年後再雇用時の給与減は適法~最高裁長澤運輸事件判決

2018.06.03

2018年6月2日最高裁は、長澤運輸事件判決において、定年後の再雇用の待遇について、条件によっては、待遇に差がつくことを認める判断を示した。

この判決で争点になったのは、労働契約法第20条:「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めのあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(「職務の内容」)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」という条文を具体的にどう解釈し判断するかという問題である。

この判決の中で、「精勤手当」については、「従業員に出勤を奨励する趣旨で支給されるもの」であり、仕事の内容は同じである以上嘱託社員に支給しないのは不合理だとの判断である。

又、再雇用者の賃金低下については、①定年まで正社員として賃金を受け取ってきたこと ②通常は長期間雇用することが予定されていない ③一定の要件を満たせば年金の支給を受けられる といった「その他の事情」を考慮し、正社員との賃金格差は「不合理とはいえない」とした。

つまり、仕事の内容が変わらなくても、再雇用の条件によっては待遇に差がつくことを認めるということ。「嘱託社員と正社員とでは賃金体系が異なる」「定年時に既に退職金が支払われている」「年金受給前は調整給を支払う」「年収が退職前の79%程度になるように配慮されている」などの点を考慮し、職務給や賞与が支払われないことは「不合理とは言えない」としている。

この判決に企業の経営者は、ほっと胸をなでおろしているとのではないでしょうか。なぜなら、再雇用時の賃金を、定年直前の賃金より低く押さえているのは世間一般に通常に行われているからです。

ただ、各種手当関係は、今回の判決を踏まえて見直す必要があるでしょう。

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