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2018.07.07
現在のような超高齢化社会では、65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症を発症しています。認知症を発症すると判断能力がないとみなされますので、この場合、成年後見人をつけなければならないケースが出てきます。例えば、
(1)本人の銀行預貯金を下ろす場合
(2)本人が相続人になる場合
(3)本人が損害賠償などの訴訟を起こす場合
(4)本人が不動産の売買契約を締結する場合
などがあります。
この場合、通常周りにいる家族の一人が成年後見人となり、本人の代わりに財産管理や契約などの法律行為を行います。ただし、家族が成年後見人になると本人の財産を着服する例が多発したため、第三者である弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士などが成年後見人になるケースが増えてきています。成年後見人の指名は家庭裁判所が行うため、家族が成年後見人になるのがふさわしくないと家庭裁判所が判断した場合は第三者の法律家などが指名されるようです。
ただ、成年後見人は、本人の介護や身の回りの世話をする訳でもなく、財産管理や身上監護をするのが任務とされています。従って、施設に入所時や病院への入院時の契約書に署名はしますが、身元保証人には基本的にはなりません。身元保障は親族のだれかが行うことなります。
ここで問題なのが、親が認知症になったら必ず成年後見人をつけなければならないかと言う点ですが、結論から言うと必ずしもそうとは言えません。契約の締結など、法律行為をしなければならない場合がなければ、親族がそのまま本人の身の回りの世話をすればよいわけです。逆に、家族の一人が成年後見人になった場合でも、認知症の親の財産を勝手に使うことはできません。年に1回家庭裁判所に財産の管理状況を報告する義務がありますし、成年後見監督人(弁護士や司法書士などの士業が任命されることが多い)がつけば、その人にも財産状況を報告しなければなりません。もし私用で親の預貯金を引き出したなら成年後見人を解任されてしまうこともあります。
現在、非正規労働者の増加や介護離職する人が増えるなど、子供世代の低収入が問題になっています。そこで、親の財産や年金をあてにして生活している若い世代も増加してきています。その親が認知症になるケースが増えてくると思いますが、その場合に成年後見制度を利用してしまうと、逆に子の生活が破綻してしまう場合があるかもしれません。そうならないように、事前に対策を考えておかなければならないでしょう。