老齢年金の繰り下げ受給の落とし穴とは?|浜松の社労士事務所

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コラム

老齢年金の繰り下げ受給の落とし穴とは?

2018.09.04

65歳からもらえる老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)は、原則通り65歳からもらってもいいのですが、繰り下げて受給することもできます。その場合最大70歳まで5年間の繰り下げが可能です。繰り下げることにより、一月あたり0.7%の増額になります。70歳まで5年間繰り下げると、5 x 12 x 0.7%=42%増額になります。これは結構大きな額ですので、銀行の定期預金に預けておくよりも効率のよい投資に見えます。

従って、65歳から70歳までの生活資金に余裕がある人、または70歳まである程度の給料で働ける人は、この繰り下げ受給を申し出てもよいかもしれません。ただ、70歳まで繰り下げた人は、原則通り65歳から受給した場合と比較して、82歳まで生きないと元が取れません

ここで、70歳まで繰り下げで受給した場合、どんな落とし穴があるか考察してみましょう。

(1) 65歳以降年金額が全額停止になる人は、厚生年金部分に関しては、ほとんど繰り下げの効果はない!

65歳以降、会社の役員等で高額の報酬をもらっている人は、在職老齢年金制度により、老齢厚生年金(報酬比例部分のみ、老齢基礎年金は対象外)の月額と報酬(年間賞与の合計の12分の1を含む)の月額の合計が46万円を超えると、その差額の2分の1が年金月額から減額されます。さらにその差額の2分の1が年金月額を越えれば、年金は全額停止となってしまいます。

この場合、「厚生年金が全額停止になるから、とりあえず、年金の受給を70歳まで繰り下げておこう。」と考える人がいらっしゃいます。ところが、増額の対象となるのは、厚生年金の経過的加算額のみで、停止された部分は増額されません。従って厚生年金部分は、ほとんど増額されず、老齢基礎年金の増額のみとなります。

つまり、在職老齢年金制度で、減額された部分は、増額の対象から外れ、残額及び経過的加算額のみが増額されることに注意が必要です

(2) 加給年金額は、繰り下げしても増額されず、繰り下げしている間は支給されない!

夫の厚生年金加入期間が240月(20年)以上あり、かつ年下の妻(昭和18年4月2日以降生まれ)の厚生年金加入期間が240月(20年)未満である場合、夫が65歳になったとき、夫の厚生年金に配偶者加給年金額(平成30年の場合、特別加算を含んで389,800円)が付きます。そして、妻が65歳になると停止します。年上の夫の場合、妻との年齢差が大きいほど、加給年金が付加される期間が長くなり金額も大きくなります。

妻との年齢差が5歳未満であると、65歳から5年間繰り下げると、加給年金は全く支給されません。配偶者加給年金額は、結構な金額であるため、繰り下げした増額分と加給年金額が支給されないことによる減額分をしっかり検討することが必要です。

(3) 繰り下げ待機中に、障害年金や遺族年金が発生した場合は、その時点で繰り下げ請求しなければならない!

66歳以降、70歳まで繰り下げるつもりでいたが、病気やケガで障害が発生、障害年金をもらうようになったとか、あるいは、突然夫がなくなり、遺族年金の受給権が発生してしまった場合、それ以上の繰り下げは不可となります。

その場合、繰り下げはストップとなり、その時点での繰り下げ率で、老齢年金を受給することになります。さらに、障害年金や遺族年金との額調整が出てくる場合があります。

(4) 所得税、住民税、健康保険料、介護保険料などの増額に注意!

繰上げ受給した年金額が一定の金額を超えてくると、所得税、住民税、健康保険料、介護保険料などの負担増加は発生してきます。

年金は、雑所得になりますので、65歳以上では、年金のみの収入で158万円を超えると所得税がかかってきます。その超えた部分の金額の5%が所得税となります。

健康保険料や介護保険料も所得に応じて金額が決まっていますので、具体的な金額は、市町村の担当課などに問い合わせてみてください。意外と高い金額を取られてしまう可能性もあります。そうなると、せっかく繰り下げして年金額は増額したけれど、税金や保険料が高額になり、そんなにおおきなメリットが出てくるか疑問になる可能性もあります。

結論としては、上記のことをよく検討し、繰り下げの年齢時における年金額と、それ以外の要素(税金や保険料などの増加額)を試算しながら自分の生き方にあった繰り下げを決定する必要があると思います。

厚生労働省の平成27年度の統計データによると、繰り下げしている受給者は、全受給者の約1%しかいない。ほとんどの人が原則的な65歳からの年金受給を選択しているということです。参考としてください。

 

 

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