遺族厚生年金請求書の書き方(会社員だった夫が老齢年金受給中に死亡の場合)|浜松の社労士事務所

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コラム

遺族厚生年金請求書の書き方(会社員だった夫が老齢年金受給中に死亡の場合)

2019.03.01

今回は、遺族厚生年金請求書(様式105号)の書き方について説明します。正式名称は、「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)」で、薄緑色の書式になります。

まず、初めに基礎知識の復習です。遺族厚生年金を受給できるための、亡くなられた方の要件は以下の通りです。
(1)厚生年金加入中の死亡(すなわち、在職中の死亡)
(2)病気退職後の死亡(在職中に初診日があり、退職後その初診日から5年以内にその傷病で死亡)
(3)障害厚生年金の受給者の死亡
(1級又は2級に該当した場合が原則だが、実務上は3級の受給者の死亡も適用されます。)
(4)老齢年金を受給中の人の死亡(但し受給資格期間25年を満たしていること)
(5)老齢厚生年金の受給資格期間(25年)を満たしている人の死亡

更に、遺族厚生年金を受け取ることのできる遺族の順位は以下の通り。
①配偶者、子 :妻は年齢制限なし。夫は55歳以上(支給は60歳から)。
子は、18歳の年度末まで。障害状態にある子は、20歳未満であること。
②父母    :55歳以上(支給は60歳から)
③孫     :18歳年度末まで。障害状態にある孫は、20歳未満であること。
④祖父母   :55歳以上(支給は60歳から)

(注)配偶者は、内縁関係でも認められますが、請求時に「内縁関係であることの証明」を求められます。
住民票の住所が同じであるだけでなく、生活を共にしていた証拠(健康保険の被扶養者証や国民年金の
第3号被保険者になったいることなど)を提示する。
また、配偶者(請求者)の年収が850万円未満でないと遺族厚生年金は支給されません

今回の事例は、会社員を38年間勤めて退職、その後老齢年金を受給中の夫が病気で死亡し、妻が遺族厚生年金を請求するという、最も典型的なケースで解説します。夫は、鈴木太郎(昭和14年3月8日生)で、平成31年3月11日に死亡。妻は鈴木花子(昭和18年12月4日生)、子供は二人いるが、すでに成人しているという設定です。

ここで、年金事務所に行く前に準備するものとして、以下を用意します。
●死亡した夫の年金証書(ない場合は年金手帳)->なくても受付は可能です!
死亡診断書の写し
●戸籍謄本(死亡日以降に発行されたもの)
●住民票除票
●世帯全員の住民票(死亡日以降に発行されたもの)
●今回遺族年金を請求する妻の所得証明書(市役所等で発行された最新年度のもの)
所得がない場合は、非課税証明書を添付。
●請求する妻の金融機関の通帳
請求者の認印

それでは、年金事務所から入手した年金請求書を前において、記入開始です!

まず、1ページ目は、死亡した夫の基礎年金番号を年金証書または年金手帳から転記します。生年月日、氏名、フリガナを記入、性別に〇をつけます。次に請求者である妻の基礎年金番号(年金手帳から転記)生年月日、氏名、フリガナ、続き柄を記入、性別に〇を書きます。住所の〒番号、住所、電話番号を記載します。
振込を予定している金融機関の通帳を出し、年金受取機関の1か2に〇をつけ、口座名義人の氏名、フリガナを記載。銀行名、支店名、預金の種別、口座番号を記載します。
一番下の欄の加算額(加給金)の対象者ですが、すでに成人しているため対象者はいませんので、何も記載しません。

 

それでは、2枚目です。

今回の設定では、老齢年金を受けていますので、「受けている」に〇をつけ、その下の「公的年金制度名」の欄には、「 ア 、 イ 」と記載し、「年金の種類」は、「老齢」と記載。「年月日」は空白でもOKです。年金事務所の窓口で教えてもらいましょう。「年金証書の年金コード」は「1150」と記載します。

その下の「履歴」の欄は、とりあえず何も書かずに提出します。事務所の窓口で「亡くなった夫の職歴」をプリントアウトしてくれますので、それを見て確認し、『被保険者記録の履歴は、これに相違ありません。』というゴム印を押してくれますので、そこに署名と捺印をします。今回の場合は、鈴木 花子 と署名し、鈴木の認印を押します。

 

それでは、3枚目です。

まず、死亡診断書のコピーを前に置きます。死亡した夫の生年月日と住所を記載します。死亡年月日と死亡原因の病名を死亡診断書のコピーと同じ病名を書きます。(4)傷病または負傷の発生した日 は、具合の悪くなった時期を書きます。 (5)傷病または負傷の初診日 は、初めて病院にかかった日を書きます。 (6)死亡の原因である傷病または負傷の発生原因 ですが、不明であれば空白でかまいません。
この(2)から(6)は、死亡診断書に記載された事項と矛盾のないように記載します。

「(7)死亡の原因は第三者の行為によりますか。」は、今回は病気による死亡ですので、「いいえ」に〇をつけます。例えば交通事故で死亡したような場合は、「はい」 になります。

「(9)請求する方は死亡した方の相続人になれますか。」 ですが、 夫が死亡した場合、妻は法定相続人になりますので、「はい」 に〇をつけます。

「(10)死亡した方は次の年金制度の被保険者、組合員または加入者となったことがありますか。」では、「1. 国民年金法 」と「2. 厚生年金保険法」に〇をつけます。

「(11)死亡した方は(10)欄に示す年金制度から年金を受けていましたか。」では、受けていますので、「1.はい」に〇、制度名は「厚生年金」と記載し、基礎年金番号及び年金コード(1150)を記入します。

今回の死亡の原因は、業務とは関係ありませんので、(12)業務上 (13)労災保険 (14)労基法の遺族補償はすべて「2.いいえ」に〇です。

(15)ですが、ア. 死亡時厚生年金の被保険者(在職中)ではありませんので、「2.いいえ」に〇。
イ.資格喪失後、初診日から5年以内に死亡していませんので、「2.いいえ」に〇。
ウ.障害年金を受けていませんので、これも「2.いいえ」に〇。
エ.平成29年7月まで、老齢厚生年金の受給権者でしたので、「1.はい」に〇。
オ.納付済み期間、免除期間、合算対象期間を合わせて、25年以上(今回の例では、納付済期間が38年)ですので、「1.はい」に〇。

(16)は共済組合(公務員など)に加入したことがある人が対象ですので、ここは、何も記載しません。
以上で3枚目は終了です。

 

次に4枚目に行きましょう!      生計維持証明になります。

ここでは、妻が生計を維持されていますので、「生計同一関係」の欄に、提出年月日、請求者である妻の住所と氏名及び認印。
右欄の請求者の欄には、「鈴木 花子」 「妻」と記入。

「収入関係」の欄には、「(1)請求者(名:花子 )について年収は、850万円未満ですか。」は「はい」に〇。
(実際に所得証明書などで850万円未満を確認してください!)
右下の提出日の年月日を記載します。これで、4枚目は終了です。

 

次に、最後のページ「機構独自項目」に行きましょう!

アの欄の(1)(2)(3)は、恩給ほか、旧法の年金を受けることができたときや、国民年金の任意加入の関係の設問で、かなり高齢の方の話になります。ですので、ここは、触れずに、(4)特別一時金 (5)沖縄在住 (6) 旧共済組合の組合員 のところだけをチェックします。
ここも、ほぼほぼ関係ないので、すべて「2.いいえ」に〇をします。

イの欄の第四種被保険者や船員保険の任意継続被保険者の話ですので、これも「2.いいえ」に〇をつけます。

これで、終了です。

ここまで、書いたら、年金事務所にもっていき、相談員にチェックしてもらいます。間違えた個所がある場合は、二重線を引き、認印(訂正印)を押しましょう。

どうでしょうか? 少しは参考になったでしょうか? お役に立てたなら幸いです。

ご質問のある方は、問い合わせのページからお願い致します。

 

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