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2019.07.08
前回は、厚生年金に加入していた外国人の場合でしたが、今回は、個人事業主で日本で働き、その後帰国する場合を考えてみます。
この場合、国民年金第1号被保険者となりますので、国民年金保険料を納付しなければなりません。
(1)脱退一時金の支給要件(国民年金の場合)
●外国人(日本国籍を有しない)であること。
●請求月の前月までの月数が、保険料納付済み期間+保険料4分の1免除期間x3/4 +保険料半額免除期間x1/2 + 保険料4分の3免除期間x1/4の合計月数が6ケ月以上であること。
●老齢年金の受給資格期間を満たしていないこと。また、障害年金の受給権を有したことがないこと。
➡納付済み期間等や合算対象期間を合わせて10年以上であれば、請求できません。特に永住者の場合は、海外在住期間のうち、永住許可を取得するまでの期間(20歳以上60歳未満に限る)が合算対象期間になりますので、注意が必要です。
以上の要件を満たした者が、日本から出国後2年以内に日本年金機構に請求すると、脱退一時金を受給することができます。
2年を経過してしまうと、請求することができません。
(2)脱退一時金の額(国民年金の場合)
国民年金の脱退一時金の額は、保険料額の変動に応じて毎年度改定され、政令で定められます。
基準月が平成30年度に属する月である場合は、対象月数に応じて以下の額になります。
(3)再入国許可を受けて出国する場合の注意点
再入国許可を受けて出国する場合でも、国外へ住所を移す場合は、市町村へ転出届が必要です。市町村へ転出届を提出した上で、再入国許可を受けている場合は、脱退一時金の請求が可能です。この場合、出国日の翌日から2年間が請求可能期間になります。
転出届を提出せず出国した場合、原則として、再入国の有効期限が経過するまでは国民年金の被保険者とされることから、脱退一時金の請求はできません。再入国の有効期限が経過した日から2年間が脱退一時金の請求可能期間となります。
(4)提出書類について
脱退一時金を請求する際の提出書類は、以下の通りです。
◆「脱退一時金請求書(国民年金/厚生年金)」
◆添付書類
・パスポートのコピー(氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ)
・住民票の除票(日本国内に住所を有しなくなったことの確認)
・銀行口座の確認ができる書類
・国民年金手帳その他、基礎年金番号の確認できるもの
以上の書類を日本年金機構に提出します。
(5)その他重要事項
★脱退一時金を受領した場合、その基礎となった期間は、加入期間ではなくなりますので、再度来日して働き始めた場合、前の就労期間は日本の年金を受けるための受給資格期間には含まれませんので注意が必要です。
★国民年金の脱退一時金は、所得税が源泉徴収されませんが、厚生年金の脱退一時金は、支給の際、20.42%の税金が源泉徴収されます。「退職所得の選択課税による還付のための申告書」を税務署に提出することで、源泉徴収された税金の還付を受けられる場合があります。
★脱退一時金を請求後、本人が死亡した場合は、生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族が代わりに給付を受けることができます。
どうでしょか? 参考としてください。