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2020.05.19
みなさん、こんにちは! 今日のテーマは、障害年金の初診日を決定するに当たって、非常に重要な概念である「相当因果関係」と「社会的治癒」という考え方を解説していきます。
前回のブログでは、傷病の診断名がはっきりと決定した時の受診日ではなく、それ以前の違う傷病名の受診日が初診日となる場合が多いというお話をしました。
今回お話する「相当因果関係」という考え方は、初診日を決定する上で大変重要な概念になります。
例えば、腎不全で人工透析を始めた人がいるとします。この方は、かなり前から糖尿病を患っていました。この場合、初診日はどうなるのでしょうか?腎不全と診断された日でしょうか? ………………….. 実は糖尿病と診断された日が初診日になるのです。
このように「前の疾病又は負傷がなかったならば、後の疾病が起こらなかったであろう」と認められる場合は、「相当因果関係あり」とみなされ、前の傷病と後の疾病は同一のものとみなされます。
具体的に「相当因果関係あり」とされる事例は以下の通りです。
(1) 糖尿病 ———- ➡ 糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性壊疽(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉鎖症)
(2) 糸球体腎炎(ネフローゼを含む)、多発性のう法人胞腎、慢性腎炎 ———➡ 慢性腎不全
(3) 肝炎 ————➡ 肝硬変
(4) 結核(化学療法の副作用)————➡ 聴力障害
(5) 輸血(手術等)————➡ 肝炎
(6) ステロイド投薬 ———–➡ 大腿骨頭無腐性壊死
(7) 事故、脳血管疾患 ————➡ 精神疾患
(8) 転移性悪性新生物 ———–➡ 悪性新生物(転移したもの)
なお、「相当因果関係なし」とされるものもあります。以下の3つの事例です。
A. 高血圧 ——–✖———-➡ 脳出血、脳梗塞
B. 糖尿病 ———✖———-➡ 脳出血、脳梗塞
C. 近視 ————✖———-➡ 黄斑部変性、網膜剥離、視神経委縮
以上の3例のうち、AとBは、医学的には因果関係がありそうですが、障害年金の世界では、因果関係なしとして取り扱われます。
次に、治癒と再発の関係を考えます。
過去の傷病が「治癒」し、再び同一の傷病が発生した場合、過去の傷病と再発傷病は、別傷病として取り扱われます。
例えば、過去に軽い脳梗塞を発症し、治療後よくなり、以前と同じ社会生活を送っていたが、最近になって脳梗塞を再発した場合は、初診日としては、過去の最初の受診日ではなく、最近の再発して医者に掛かった日が初診日となります。
ここで、「治癒」には、「医学的治癒」と「社会的治癒」があります。
「社会的治癒」とは、「医療行為を行う必要がなくなって、特段の療養の必要がなく、長期的に自覚症状や他覚症状に異常が見られず、普通に生活や就労ができている場合」を言います。
つまり、その傷病が、医学的に治癒に至っていなくても、自覚的・他覚的に異常が見られず、社会復帰しており、投薬治療もなく長期間(精神疾患では、概ね5年程度。傷病によっては、10年程度)普通の生活や就労をしている場合は、「社会的治癒」があったものとして取り扱います。 具体的には、障害年金の請求の際に添付する診断書や病歴就労状況等申立書などにより個別に判断されるようです。
以上 参考としてください。