労災保険未加入中に労災事故が起きた場合、労災給付は受けられるのか?|浜松の社労士事務所

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コラム

労災保険未加入中に労災事故が起きた場合、労災給付は受けられるのか?

2020.05.25

今日のテーマは、労災保険未加入中の労災事故(業務災害)についてです。通常事業主は、従業員を初めて雇ったときに、労働基準監督署へ、「保険関係成立届」を提出することになりますが、その手続きを怠っていた場合の話です。

労基法上の労働者であれば、パートタイマー、アルバイト、不法就労の外国人であろうと、すべて労災保険の適用を受けます。これは加入手続きをしているか否かにかかわらず、労災事故による保険給付を受けることができます。

ただし、保険料を納めていなくて、保険給付をうけることができるとなると、まじめに保険料を支払っている事業主との公平性が保たれません。

そこで、保険料を納めていない事業主から、ペナルティとして費用徴収を行います。

費用徴収とは、以下に該当する労災事故に対して、保険給付を行ったときは、労基法の規定による災害補償の価額の限度で、その保険給付に要した費用の全部又は一部を事業主から徴収するものです。

(1)事業主が故意又は重大な過失により保険関係成立届を提出していない期間中に生じた業務災害及び通勤災害
➡①故意に手続きしない場合:保険給付額100%相当額
➡②重大な過失により、手続きしない場合:保険給付額の40%相当額

ここで、「故意」とは、行政機関等から保険関係成立届の提出について、指導又は加入勧奨を受けたにもかかわらず、提出を行っていない場合です。
また、「重大な過失」とは、指導・勧奨を受けていないが、保険関係成立日から1年以上経過しても届を出していない場合です。

(2)事業主が概算保険料のうち、一般保険料を納付しない期間中に生じた業務災害及び通勤災害
➡保険給付額 Ⅹ 滞納率(上限が40%)の相当額

(3)事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害
➡保険給付額の30%相当額

具体的な金額は、都道府県労働局長が決定します。なお、療養補償給付、介護保障給付、二次健康診断等給付に係る費用は、費用徴収の対象外となります。

また、この費用徴収は、労働者には責任はないため、労働者に対する保険給付は、減額されずに行われます。

その他、労働者が負担する「通勤災害に係る一部負担金」というものがあります。

通勤災害から療養給付を受ける労働者がいた場合、原則200円を休業給付から控除します。ただし、
①第三者行為災害により療養給付を受ける者
②療養の開始後3日以内に死亡した者その他休業給付を受けない者
③同一の通勤災害に係る療養給付で、すでに一部負担金を納付した者

は除かれます。

以上、まとめると、従業員を初めて雇用したら、かならず、保険関係成立届を労働基準監督署に提出しましょう。
事故を起こしてからの提出では、労基署の監査も厳しくなります。

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