不安障害・適応障害は、なぜ障害年金の認定の対象にならないのか?|浜松の社労士事務所

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コラム

不安障害・適応障害は、なぜ障害年金の認定の対象にならないのか?

2020.06.28

こんにちは! 今日のテーマは、「神経症状である不安障害(パニック障害)や適応障害、パーソナリティ障害、PTSDなどは、原則的に精神疾患における障害年金の対象にならないのはなぜか?」という論点です。

 

障害年金の認定基準第8節精神の障害の中の認定要領Aには、「(4)人格障害は原則として認定の対象にならない。」とし、「(5)神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象にならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。

となっています。この神経症状は、ICD10コードで言うと、F4の分類に属します。

厚生労働省のメンタルヘルスHPによれば、例えば、「適応障害」とは、「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義され、「ある生活の変化や出来事がその人にとって重大で、普段の生活が送れないほど抑うつ気分、不安や心配が強く、それが明らかに正常の範囲を逸脱している状態」になります。「発症は通常生活の変化やストレス性出来事が生じて1ケ月以内であり、ストレスが終結してから6ケ月以上症状が持続することはない。」とされています。ただし、「ストレスが慢性的に存在する場合は、症状も慢性的に経過する。」ということです。

「パニック障害」とは、「突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、そのために生活に支障が出ている状態」をいいます。「パニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分でコントロールできないと感じ、そのため、また発作が起きたらどうしようと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。」

「パーソナリティ障害」とは、「その人の属する文化から期待されるものよりも著しく偏った内的体験および行動の持続的パターンであり、他の精神障害に由来しないもの」とされ、「大多数とは違う反応や行動を示すことで、本人が苦しんだり、周りが困っているケースに診断される精神疾患」です。「認知や感情、衝動コントロール、対人関係といった広い範囲のパーソナリティ機能の偏りから問題が生じるものです。」

「強迫性障害」は、強い不安やこだわりによって日常生活に支障が出る病気で、意に反して頭に浮かんでしまった払いのけられない強迫観念やある行為をしないではいられない強迫行為をすることになります。例えば、何度も手を洗うとか、戸締りを何度も確認するなど。

ここで、認定の対象とならない理由を平成22年5月31日の社会保険審査会の裁決から、ヒントを探っていきます。

昭和40年法改正により、「すべての精神障害が対象とされることになったので、法別表上は精神病質及び神経症についても障害の対象になるものであるが、……….(中略)神経症については、通常その病状が長期にわたって持続することはないと考えられることから、原則として障害の状態と認定しないものとする。」(昭和40年6月5日庁保発第21号通達)という扱いとなったとのことです。

更に、このような取り扱いは、「神経症は、非常に長く続く強迫神経症などで、まれに2級程度のものがあり得るが、原則的には治る可能性があり、あまり対象にしない方がよい。特に神経症で生活保障すると、病気の中に隠れてしまい、自分で治す意欲がなくなり、患者のためにならない。」(昭和40年5月開催疾病認定講習会での東大教授の発言)という当時の精神医学界の認識に沿うものであった。

かつ、患者がその疾患を認識し、それに対応した対策をとることが可能である(自己治癒可能性)こと。症状の発現やその症状が続くことによって引き起こされる患者本人が心理的、現実的満足を得ることがある(疾病利得)こと。つまり、家族の同情を得、また嫌な仕事から逃れることができる環境を得ることで神経症の症状が消失することがしばしば観察される。

以上、まとめると、神経症が障害年金の認定の対象とならない理由は、

①うつ病や統合失調症と比べると、症状が軽く、半年程度以内で治癒する病気であり、年金の対象とするには無理がある。

②患者自身が病気であると認識でき、それに対応した行動をとることができる。すなわち、自分で治そうと思えば、自分で行動に移せる。また、症状が現れ、その症状を他人に訴えることで心理的な充足感を得られる。

③障害年金による生活保障をすると、疾病利得により、自分で治そうという意欲が失われる。

となります。

但し、初診では、適応障害でも、認定日では、うつ病と診断されるなど、障害年金を請求できる事例は多くあります。神経症の分類(F4)だからと諦めないでください。精神病の病態を示している場合は、申請可能です。重度の強迫性障害で認定された事例もあります。

以上 参考としてください。

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