離婚時の年金分割で、注意すべき点とは? 合意分割と3号分割があることと厚生年金の標準報酬部分の分割であること|浜松の社労士事務所

0535287125

【営業時間】9~18時 ※土日祝休み。電話対応は可。

お問い合わせ

コラム

離婚時の年金分割で、注意すべき点とは? 合意分割と3号分割があることと厚生年金の標準報酬部分の分割であること

2021.01.17

今日は、離婚した際の年金分割の話です。年金分割制度を知らないために、請求しない方もいらっしゃいます。年金分割の請求は、90%以上妻からの請求で、婚姻期間の中での厚生年金の報酬比例部分の分割になります。妻の側は、専業主婦の期間(第3号被保険者期間)が長かったり、共働きでも夫より一般的に賃金が少ないため、夫の厚生年金の報酬比例部分の一部をもらう形になります。

それでは、年金分割とは何かからお話しましょう。

厚生年金保険法第78条の2には、以下のように記載されています。

第一号改定者元夫であることがほとんど)又は第二号改定者元妻であることがほとんど)は、離婚等をした場合であって、次の各号の何れかに該当するときは、実施機関(日本年金機構など)に対し当該離婚等について対象期間(婚姻日から離婚日まで)に係る被保険者期間の標準報酬の改定又は決定を請求することができるただし、当該離婚等をしたときから二年を経過したときその他厚生労働省令で定める場合に該当するときは、この限りではない。

一 当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合について合意しているとき

二 次項の規定により、家庭裁判所が、請求すべき按分割合を定めたとき

2 前項の規定による標準報酬の改定又は決定の請求(「標準報酬改定請求」)について、前項第一号の当事者の同意のための協議が整わないとき、又は協議することができないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は、当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。

3 標準報酬改定請求は、当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の添付その他厚生労働省令で定める方法によらなければならない。」

 

つまり、婚姻期間において、標準報酬の改定等のついて合意し、その合意書を公正証書等にして、標準報酬改定請求をしなければならない。かつその請求は、離婚日から2年以内にしなければならない。というものです。そして、按分割合は、通常の場合、0.5となります

以上の内容を「合意分割制度」と言います。

合意分割の方法としては、元夫が標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額)を有する被保険者期間の月ごとに、当事者の標準報酬を以下の①②に定める額に改定(決定)します。

①元夫(第一号改定者):改定前の元夫の標準報酬額x(1-改定割合)

②元妻(第二号改定者):改定前の元夫の標準報酬額x改定割合

具体的には、図2を参照してください。

合意分割は、元妻が国民年金の第1号被保険者や第2号被保険者であった期間についても行われます。元妻の第1号被保険者や第3号被保険者であった期間について、標準報酬が分割された場合は、その期間は、「離婚時みなし被保険者期間」なり、報酬比例の年金額の計算の基礎になります。

 

次に3号分割について説明します。根拠条文は、厚生年金保険法第78条の14になります。

「被保険者(特定被保険者:元夫)が被保険者であった期間中に被扶養配偶者(元妻)を有する場合において、当該特定被保険者の被扶養配偶者は、当該特定被保険者と離婚等をしたときは、実施機関(日本年金機構等)に対し特定期間(第3号被保険者であった期間)に係る被保険者期間の標準報酬の改定及び決定を請求することができるただし、当該請求をした日において当該特定被保険者(元夫)が障害厚生年金の受給権者であるときはこの限りではない。」

「2 実施機関は、前項の請求があった場合において、特定期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当該特定被保険者及び被扶養配偶者の標準報酬月額に2分の1を乗じて得た額にそれぞれ改定し決定することができる。

 3 実施機関は、第1項の請求があった場合において、標準賞与額を有する特定期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当該特定被保険者及び被扶養配偶者の標準賞与額に2分の1を乗じて得た額にそれぞれ改定し決定することができる。」

この3号分割制度の施行日は、平成20年4月1日であるため、この日以降に元妻に第3号被保険者期間がある場合に、元夫の標準報酬が強制的に2分の1に減額され、元妻の方に付加されますこの3号分割も、離婚後2年を経過すると請求することができません。

以上のことをまとめると、以下の図1から図3になります。

図1

図2

図3

図解的な事例を図4及び図5に示します。イメージ的には、婚姻期間のうち、共働きの部分は、お互いの標準報酬を合計して2で割り、妻が第3号被保険者(専業主婦)の間は、元夫の標準報酬を2分の1にして、残りの2分の1が元妻に付加される形になります。

図4

図5

年金分割の流れを図6に示します。元妻としては、まず、元夫の標準報酬の情報を入手するところから始めます。元夫の基礎年金番号と婚姻期間の職歴(勤め先名とその勤務した期間)をあらかじめ調査しておきましょう。年金事務所に「年金分割のための情報提供請求書」を提出し、情報通知書を受け取ります。これをもとに離婚協議書の中に年金分割の項目を入れて作成し、公証役場にて公正証書にしておきましょう。

この公正証書を持って、年金事務所に「標準報酬改定請求書」を提出します。しばらくすると「標準報酬改定通知書」が日本年金機構から送られてきますので、保管しておきましょう。標準報酬改定請求書の提出は、離婚後2年以内にしなければなりませんので、注意してください。なお、実際に増額された年金を受け取るのは、65歳以降になります。

 

図6

最後に、厚生労働省の統計データをご紹介します。平成30年度のデータですが、全離婚件数のうち、13.5%の方が年金分割を請求しています。合意分割については、元妻は、月平均年金額では、約3万円の増額になっています。3号分割のみでは、約5000円の増額です。これは、あくまで平均ですので、一概には言えませんが、参考にはなると思います。

図7

以上、参考となりましたでしょうか? ご意見がありましたら、お問い合わせからお願いします。

pagetop