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2022.07.09
今日のテーマは、線維筋痛症です。このテーマは、2020年6月8日のブログでも紹介していますので、そちらもご覧ください。
この線維筋痛症という病気は、2009年に診療ガイドラインが出ていますので、まだ病名が認知されてから10年余りの新しい疾病になります。日本での有病率は約2%、欧米でもそのくらいで、著名人では、八木亜希子さん、レディーガガさんなどが病名を公表しています。
主要な症状としては、全身の激しい痛みがあり、痛み以外の症状として、疲労感、倦怠感、睡眠障害、しびれ、こわばり、抑うつ状態、乾燥症状、めまい、腹部症状(下痢・便秘)冷感、動悸、アレルギー症状などがあります。また、同時に起こる併存疾患としては、慢性疲労症候群、自己免疫疾患、精神疾患(うつ病・不安障害など)があります。
全身に痛みが出るということは、「体がこのままではいけません」という警報を出しているということになります。この時に医者に行って鎮痛剤を処方してもらい、痛みを抑えて仕事を続けるのは更に病状を悪化させることになります。MRIやCT、レントゲン、超音波検査などを行っても異常と診断されないことがほとんどです。そのため、いくつもの病院を渡り歩く、いわゆるドクターショッピングをする人が多くいます。線維筋痛症と診断できる医師が少ないもの要因のひとつです。
●それでは、なぜ線維筋痛症になるのでしょうか?
線維筋痛症の患者に共通する前駆症状には、「低血糖、低血圧、低体温、低BMI(18.5以下)、血行不良、感覚過敏など」があります。また、生活面での「過労、不眠、不規則な生活」なども原因になります。従って、これらの遠因を改善することから始めることが肝要です。
①食生活や生活習慣に問題ないか?
無理なダイエットをしたり、必要な栄養素が取れていなかったり、ミネラルが不足していませんか? 食品添加物の多い食品を毎日摂取していませんか?
②過度なストレスを解消しましょう!
仕事上のストレスをため込んでいませんか? 休みをしっかりとって、リフレッシュしましょう!
低血糖による不眠、冷えに悩んだり、甲状腺機能低下や膵臓機能低下、心機能の低下を引き起こすこともあります。
③人生の中での重要なエピソードに注意!
その他、直ぐに症状は出ませんが、「虐待・DVを受ける」、「交通事故の外傷」「手術を受ける」等の場合は、数年経って全身に痛みがでることがあります。
人間の体には、「ホメオスタシス」という恒常性維持機能が備わっています。外部ストレスや心的ストレスにより、その機能のバランスが崩れると心身の不調や慢性の疼痛などが引き起こされることになります。
●線維筋痛症のメカニズムは、以下のような循環になると考えられています。
(1)痛みの記憶が繰り返し再生産され、固定化し、脳の過剰反応により心的不安や神経過敏、筋力低下・体力低下により不自由さが一層増していきます。
(2)低血糖、低体温により、凝りや冷え、血液循環不良が起こり、それによる痛み、恒常性維持機能の低下、血行不良、体力低下、それに伴い、外的な環境変化(気温、気圧など)の影響を受けやすくなり痛みを感じる。
(3)痛みにより、精神的に憂鬱になり外出ができないことに。そのため社会からの疎外感や孤独を味わうことになります。そして筋力低下やロコモティブシンドロームを引き起こし、自信喪失や自己否定となり、職場の休職や退職に繋がります。食欲低下による栄養不良から更に痛みが悪化していくことになります。
●初期の段階で早期の治療が必要になります。
線維筋痛症は、突然痛みが襲ってくるわけではありません。長年の体の不調を放置し、無理が蓄積した結果、痛みが徐々に増大してきます。
治療法としては、①薬物治療(プレガバリン、ガバペンチン、デュロキセチン、トラマドール、ノイロトロピン)と②薬物以外の治療(食事療法、リハビリ、運動療法、生活指導、カウンセリング、温熱療法、音楽療法、鍼灸、ヨガ、太極拳など)があります。
リウマチ科や疼痛外来などを受診し、早期に治療を開始しましょう。
2021年11月の日本疼痛学会では、「体の組織や神経に損傷がないのに生じる」線維筋痛症などの疾患を「痛みの発生に関わる脳の神経回路の変化によって起こる痛み」と再定義し、「痛覚変調性疼痛」と呼ぶことと決定したようです。
検査では異常が出ないのに、自覚症状の痛み等では、障害年金の請求は、難しいように思えますが、生活や就労への支障の程度を明示し、診断書をしっかり作成してもらうことで、障害年金の受給も可能となります。
なお、線維筋痛症の当事者である橋本裕子さんが「きんつう相談室」というブログを開設していますので、ご紹介致します。