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コラム

外国人女性労働者の、妊娠等を理由とした解雇や強制帰国は労働関係法令違反である!

2022.12.24

今日のテーマは、外国人の女性労働者の妊娠に関わる労働法制の問題です。過去にさかのぼりますが、2013年7月 富山の食品会社で技能実習生として働いていた中国人女性が、妊娠を理由に帰国を強いられそうになり、直後に流産した上、不当に解雇されたとして、同社とその受入団体に解雇無効と630万円の損害賠償を求めた裁判で、富山地裁は、17日、解雇を無効と認め、会社側に毎月約11万円の未払い賃金の支払いを命じた。これとは別に会社と団体に計約363万円の賠償金などの支払いも命じたというもの。

これに関連しますが、最近の報道によれば、出入国在留管理庁は、技能実習生の26.5%が母国の送り出し機関や受け入れ先の日本企業やその監理団体から、「妊娠したら仕事を止めてもらう」などと妊娠・出産に関して不適切な発言をしていたとする調査結果を公表したとしています。

ベトナム、インドネシア、フィリピンなど7ケ国の女性計650人から回答を得ており、その結果によると、26.5%にあたる172人が「妊娠したら会社を辞めてもらう(帰国してもらう)」という趣旨の発言を受けたという。発言者は、送り出し機関が73.8%、日本の監理団体が14.9%、日本の受け入れ企業が11.3%となっている。

これに関連したTBSニュースの動画を引用します。

出入国在留管理庁は、HPにて「技能実習生の妊娠と出産について」というページを設け注意喚起をしていますが、これは、技能実習生に限らず、すべての外国人女性労働者に当てはまることです。これは国籍を問いません。

男女雇用機会均等法の第9条は、以下のように謳っています。

「事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。

2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない

3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたこと、その他妊娠出産に関する事由であって、厚生労働省令で定めるものを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない

4 妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は無効とする。ただし、事業主が、当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りではない。」

 

また、労働基準法第64条の3では、危険有害業務(重量物を扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務など)に就かせることを禁止しています。
同法第65条では、6週間以内に出産を予定する女性が請求した場合は、その者を就業させてはならない。また、同条第2項では、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。第3項では、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない、としている。

 

同法第66条では、使用者は、妊産婦が請求した場合、時間外労働をさせてはならず、休日労働もさせてはならない。また、深夜労働もさせてはならない、としています。

外国人労働者が日本国内で出産を希望する場合は、以下の点に留意しましょう!

●健康保険に加入していれば、出産育児一時金(42万円/人)が支給されます。また、産前42日間、産後56日間の産休期間に対して、出産手当金が支給されます。これは、給料の約3分の2の金額です。

●育児休業を取得する場合、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。金額は、最初の6ケ月は月収の100分の67、それ以降は、2分の1で、期間は、原則1年ですが、保育園が見つからない場合は、最大2年間となります。

●また、産休、育児休業を取得している間は、原則給料は0ですが、社会保険料は、会社負担と従業員負担の両方とも免除されます。そして保険料が免除された期間も将来の年金額に反映されますので、ご安心ください。

以上、参考にしてください。

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